京都・伏見稲荷大社「霊魂社」
造営年
- 1867年(慶応3年)
建築様式(造り)
- 一間社春日造
屋根の造り
- 檜皮葺
祭神
- 伏見稲荷の職員並びに特別崇敬者
社格
- 伏見稲荷大社・末社
例祭
- 秋分の日、11時
霊魂社の読み方
霊魂社は、そのまま「れいこんしゃ」と読みます。
「霊魂」の名前の由来
当社には物故者の御霊(霊魂)が奉祀されることから、この名前が付される。
霊魂社の歴史
伏見稲荷大社によると、この社殿は、伏見稲荷大社の職員や特別崇敬者など、伏見稲荷社にかかわりの深い物故者(亡くなった人)の御霊が合祀されているということです。
案内板に見える瑞穂講社や講務本庁というのは、現在「伏見稲荷大社附属講務本庁」という名前になっている伏見稲荷大社の崇敬者団体のことで、「稲荷大神のご神徳を広く内外に宣揚し、大社の隆盛を図ることを目的」としています。
メンバー(講員)には、名誉講員・特別講員・正講員の3種類があり、それぞれ、決められた額の講費を納めることで、誰でも加入できます。
どの講員になると「特別崇敬者」扱いで霊魂社に祀ってもらえるのかは・・加入申込時に聞いてみてください!
講員は毎日朝夕の2回ご本殿で家内安全・生業繁栄が祈願される他、毎年の「講員大祭」を始めとする伏見稲荷大社の祭典への参列できたり、年末に特別神札が授与されたりと、色々な特典が用意されています。
※「伏見稲荷大社附属講務本庁」の歴史や加入方法については、伏見稲荷大社公式ホームページの「講務本庁」をご覧ください。
霊魂社の建築様式(造り)
霊魂社の建築様式は、「一間社春日造(いっけんしゃ かすがづくり)」です。
「一間社」とは、正面の柱と柱の間「柱間(はしらま)」が1つ、つまり、正面の柱が2本の社殿のことです。
春日造とは、奈良の春日大社に代表される建築様式で、左右に向かって斜面のある「切妻造・妻入り」の建物で、正面に向拝(こうはい・ごはい)または階隠し(はいかくし)と呼ばれる庇(ひさし)が付いているという特徴があります。
同じ敷地内にある熊野社も春日造ですが、熊野社は小規模な社殿向けに本来の春日造を部分的に簡略化している「春日見世棚造」です。
これに対し、霊魂社の社殿は、以下のような春日造の特徴を備えています。
①正面に向拝・向拝柱、高欄付きの木階(きざはし・階)がある
向拝柱とは、手前に伸びた向拝を支えるための柱です。
木階(階)は、建築用語(訓読み)で「きざはし」と読みます。
見世棚造の場合、これらは省略されています。
②屋根の上に置千木(おきちぎ)と鰹木(かつおぎ)がある
千木は屋根に乗ったXまたはV型のもので、もともとは垂木(たるき)を延長させて交差させたものでしたが、後に、春日造のもののように、X型に組んだものを屋根に置いただけのものが登場しました。
この、置いただけの千木を特に「置千木」と言います。
また、棟木の上に垂直に並べられた丸太などを「鰹木(堅魚木)」と呼びます。
春日造の鰹木は、「細くて黒塗り」が基本形となっています。
これらに加え、霊魂社には、並び立つ3つの社殿の中で唯一、鳥居もあります。
霊魂社の場所
霊魂社は、伏見稲荷大社の大鳥居がある表参道から楼門へ向かうと、楼門の手前(儀式殿前)にあります。