月桂冠大倉記念館
創業年
- 1637年(寛永14年)
開館年
- 1987年(昭和62年)
改築年
- 1909年(明治42年)
前身会社
- 笠置屋
- 大倉恒吉商店
「月桂冠」のブランドの名前の由来と意味
月桂冠のブランドの名前の由来は、そのまま「月桂冠」です。
「月桂冠」とは、女性が結婚式に付ける「草」を円形に絡めて作った「冠」のことを意味し、この「草の冠」には、「勝利」「栄光」「繁栄」などといった意味合いが隠されています。
日本では「花冠」「草冠」などと呼称される場合もあります。
なお、月桂冠の発祥地は、古代ギリシアやローマであるとされています。
「笠置屋」と「月桂冠株式会社」
「月桂冠」は、1637年(寛永14年/江戸時代前期)に、「大倉治右衛門(おおくら じえもん)」が小さな酒屋「笠置屋」としてオープンさせました。
「南部」「但馬」「広島」の代表的な3流派の「杜氏(とうじ/=お酒を醸造する職人)」を迎え、自らが考案した「銘柄・玉の泉」というブランドのもと、お酒の醸造販売を行う酒屋として開業します。
しかし「笠置屋」が大きな躍進を遂げたのは、大倉治右衛門の創業から250年後の明治時代でした。
明治時代に入ると、大倉研究所を設立して科学技術を取り入れた醸造方法を開発し、「四季醸造蔵」と呼ばれる、1年を通して醸造する方法を日本で初めて考案します。
これにより、1年を通しての醸造が可能になりました。
また、お酒を従来の「タル詰め」ではなく「ビン詰め」して密閉することで味の鮮度を保つといった、保存方法などの改革も行います。
「ビン詰め」されていますので、それなりの強度も備わり、長時間・長距離の輸送が可能となり、鉄道に載せて日本中の「駅の売店」で販売するといった販売戦略が可能になりました。
こうして「月桂冠」の名前が瞬く間に広まり、月桂冠ブランドの礎を築いていきます。
1927年(昭和2年)には、ついに法人化し「株式会社大倉恒吉商店」を設立するに至ります。
1987年(昭和62年)に創業時の「笠置屋」が創業350周年を迎えることを記念して、会社の社名を「月桂冠株式会社」へ改名します。
以降、快進撃を続け「アメリカ⇒韓国⇒中国」と世界進出を果たし、現在に至っています。
月桂冠大倉記念館
「月桂冠大倉記念館」は1987年に「笠置屋」が創業350周年を迎えると同時にオープンしています。
1987年と言えば、上述の「月桂冠株式会社」が誕生した年でもあります。
月桂冠大倉記念館には、江戸時代から伝わる酒造用具類・6120点が展示されており、これらはすべて「京都市有形民俗文化財」に登録されています。
月桂冠大倉記念館では、これらの酒造用具や酒造の工程が見学できる他、江戸時代から伝わる絵画や書物などの観覧もできます。
月桂冠大倉記念館の見学ルート
月桂冠大倉記念館では、基本的に酒造の工程順に道順の案内があり、工程順に見学することができます。
館内案内MAPと見学順路
入館されたお客様が直感的に正しい順路で進めるよう、これまでの順路とは逆回りとなる南展示室からの見学スタートに変更しました。
月桂冠大倉記念館は従来とは見学ルートが変更されており、南展示室からの見学スタートになっています。これは従来の見学ルートとは逆周りになったことを意味しまする。
館内の主だった見どころ
記念館ホールにて上映される映像の内容
ここでは「おいしいお酒ができるまで」と銘打って、酒造りの方法や工程などを分かりやすく映像で紹介しています。
最初に映像を見ることによって、それ以後に見学する酒造りのことが理解しやすくなっています。
南展示室
南側の展示室では、月桂冠の創業から現代までのストーリーをわかりやすく展示しています。
京都・伏見の酒造りの歴史と併せて、月桂冠の酒造りに対する意気込み(挑戦や創造のスピリッツ)のコンテンツや、「イントロダクション」「城下町時代の伏見」「創業の志」「明治期からの躍進」「現代の経営」の展示がありまする。
北展示室
北側の展示室では、京都市有形民俗文化財に指定されている酒造用具約200点をコンパクトに展示していまする。
酒造工程を俯瞰する形で理解を深めやすくするようにすると共に、発酵のメカニズムのわかる動画も放映していまする。
これにより、よりいっそう酒の科学への理解を深めることができまする。
【菰巻き実演】
北側の展示室西側には、ステージが配備されており、このステージでは菰巻き(こも巻き)の実演が行われまする。
菰巻きとは酒樽に「菰(こも)」というマコモを粗く編んだ”むしろ”のことです。”むしろ”とは早い話が”茣蓙”、現代風に訳すとレジャーシートに相当しまする。
酒造りは酒樽に酒造メーカーの社名が描かれた菰を最後に巻いてこそ本当の完成です。
よく神社などに奉納されている酒樽には必ず、菰が巻かれ、その酒を製造した会社名が描かれています。
菰巻き実演の日程
- 月~金
- 時間帯:1日1回(時間帯はその日によって異なる)
※実演がない時間帯は動画にて菰巻きの作業風景を紹介!
菰を巻く作業は、普段、見る機会はほぼないのでこれを機にぜひ、ご覧になってみてはいかがでしょう。
月桂冠大倉記念館の滞在時間(観光所要時間)
入口に入ってからはエントランスにて土間、米松の梁による小屋組み天井など、昔ながらの酒蔵の風情を観覧:3分程度
ホールにて「おいしいお酒ができるまで」の映像の観覧:上映時間12分
南展示室にて、月桂冠創業から資料を閲覧:10分程度
中央に築山を配した内庭の観覧:5分程度
北展示室にて、醸造する際の道具類の観覧:5分程度
地下奥深くに涵養された伏流水を汲み上げる井戸を観覧:3分程度
仕込樽を置いている中庭の観覧:5分程度
合計43分
そのほかにプラスされる時間
オプション見学する場合は酒香房にて昔ながらの酒造の様子を観覧:10分程度
菰巻きの実演を観覧した場合:約30分〜40分
当館には売店が併設されていますので、お土産選びのと合わせるとさらに時間がかかります。(お土産コーナーはそれほど広くはありません)
合計滞在時間【早見表】
- やや早めに見学:約30分
- ふつうに見学:約40分
- 動画などをキッチリと観てわりとじっくり見学:約50分
- 菰巻きを見学した場合:80分〜90分
- 試飲室で長く滞在:上記時間プラス個人の行動次第
月桂冠大倉記念館館内にはアトラクションや乗り物などはなく、基本的に見学だけですので並ぶことはありんせん。
ただし、混雑時はこの限りではありません。(混雑を避ける方法については後述!)
試飲できる時間や飲み放題はあるのか?‥‥に関して
まず、最初にいっておくと「飲み放題はありんせん!」
入口でコインが3枚もらえます。このコイン1枚につき、1杯だけ、気になった種類のお酒が飲めます。
つまり、何杯でも飲めるワケではありんせんが、滞在時間は自由です。
月桂冠大倉記念館には2つの見学コースもあって所要時間も異なる!!
一般見学コース
上記、約50分の見学コースです。試飲が付いています。
オプション見学コース
「酒香房」に隣接する酒蔵で、モロミ発酵の様子などを見学できるコースです。
上記、約43分よりさらに10分ほどプラスすると考えて、53分!
以上、すべてのコーナーを見学して、試飲をほどよく楽しんでお土産選びを最後に楽しむのであれば、おおかた1時間30分くらいをみておくと良いと思います。
なお、きき酒は、季節ごとにその季節に合った様々なお酒が飲めます。
【豆知識】日本酒のつくり方(醸造方法)
日本酒のつくり方は、今も昔もさして違いはありません。
「菌」と言う生き物を相手にする上では、基本的な考え方は同じです。
↓
精米
↓
白米
↓
蒸米
↓
酒の母と書いて、その実態は「酵母菌」のことです。
日本酒にとって酵母菌と水は命です。
蒸した米に酵母菌と水・麹(酵母菌の微生物)を加えて練り込んで酵母菌を増殖させます。
↓
これらをケツ穴からクソが飛び出るほどの勢いで混ぜまくります。(飛び出てOK)
↓
やがて、増殖した酵母菌が米の成分を食って、糖分を吐き出します。
この糖分がアルコールです。
↓
酒と酒カスとを分けるために、フィルター代わりとなる布地に酒を流し込みます。
↓
原酒とは透明ではない、ニゴったままのお酒ですので、少しアルコールの度数は高めです。
戦後では「どぶ酒(どぶろく/密造酒)」とも呼ばれ、貧しかった庶民の間で親しまれていました。
どぶ酒が密造酒と呼ばれる理由とは、自前でお酒を作ると「酒税法違反(脱税)」になってしまうからです。
↓
濾過(ろか)して、不純物を取り除き透明にします。
↓
少し水を加えます。
↓
酵母菌を死滅さないと、やがて酒の成分を食いつぶして「お酢」になってしまうからです。菌は高温で増殖するため低温で薄暗い蔵へ安置しておきます。
↓
味見。最終調整です。
↓
出荷
月桂冠大倉記念館の混雑状況と混雑回避方法
月桂冠大倉記念館は、いまや年間で15万人が訪れる京都有数の観光スポットでもあります。
近年では、近隣に位置する伏見稲荷大社へ外国人観光客が増加したことから、ここ月桂冠大倉記念館へ足を運ぶ外国人観光客も、年々増加傾向にあります。
月桂冠大倉記念館は、お盆と年末年始は休館なので、必然的に混雑するのが「ゴールデンウィーク」ということになります。
しかし、もっとも混み合うとされるGWにおいても、月桂冠大倉記念館では基本的に待ち時間がそれほど発生することもなく、比較的スムーズに見学ができます。
したがって、混雑回避のための方法というのも、特にはありません。
【補足】スマホなどの携帯端末で楽しめる館内ガイド!
月桂冠大倉記念館では、案内ガイドを自動化して専用のWEBサイトへアクセスすると「月桂冠大倉記念館 館内ガイド」(日本語、英語)が楽しめるようになっています。
これで館内でも案内ガイドスタッフなしでも、携帯端末の情報を見るだけでより深い内容の事柄を知ることができまする。
月桂冠の創業よりの歴史や、酒造にまつわるエピソードなどをわりと詳しく紹介しています。館内はWi-Fi(無料)完備なので、パケ代の心配はご無用”!すべてタダで楽しめまする。
月桂冠大倉記念館「営業時間・定休日・公式URLなど
- 住所:京都府京都市伏見区南浜町247
- 業時間:9:30~16:30
- 定休日:お盆・年末年始(8/13~8/16、12/28~1/5) ※変動あり
- 駐車場:乗用車22台
- URL:http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
団体での見学予約方法
15名様以上の団体又は観光バスで来館の場合は要予約
- 予約電話番号:075-623-2056
月桂冠大倉記念館の入館料金・営業時間・定休日
月桂冠大倉記念館のお土産はコレ!
京都伏見の「十石舟」「三十石船」の月桂冠大倉記念館・裏乗船場について
月桂冠大倉記念館では、なんと!「十石舟」「三十石船」と呼称される江戸時代の船に乗船して伏見の町並みを川下りすることができます。
乗船場は月桂冠大倉記念館の裏手の川辺になります。
「十石舟」「三十石船」詳細については以下の別ページにてご紹介しています。
月桂冠大倉記念館へのアクセス(行き方)
京都駅から直接、月桂冠大倉記念館へ訪れる方、もしくは伏見稲荷大社での参拝後に訪れる方がいると思います。
これら双方のロケーションからのアクセス方法については以下の別ページにてご紹介しています。
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